オピニオンコラムcolumn
2020.11.30
コロナ太りは、血管事故にもご注意!
~コロナ禍で密かに進行する
血管事故リスクを防ぐオリーブオイル活用術~
新型コロナの陰で、突然死を招く動脈硬化が進行中!?
コロナ太りにストレスで、この冬は例年以上に血管事故に注意
新型コロナウイルス感染症を恐れるあまり、心筋梗塞や脳梗塞など突然死を招く血管事故のことを忘れてはいないでしょうか。何らかの要因で血管が詰まったり破れたりするのが血管事故。新型コロナ以上に死亡率が高く、しかもそのリスクはコロナ禍で密かに高まっています。特に、寒い冬は要注意。血管事故についても、しっかりとした予防策が必要です。
2020年1月~5月は心筋梗塞、脳梗塞といった血管と関係する病気による死亡者数が、前年より少なくなりました。厚生労働省「人口動態統計月報」(令和2年5月分)によると、2019年と比べて急性心筋梗塞は10.8%減少、心不全は4.4%減少、脳梗塞は5.1%の減少です。その理由は、コロナ禍でのテレワークの広まりや外出の自粛で無理して動くことがなくなり、身体への負荷がかかりにくかったためと考えられます。
出典:厚生労働省「人口動態統計月報(概数)」(令和2年5月分)
ところが、喜んでばかりはいられません!脳心血管系疾患の発症率の減少とは裏腹に、密かに血管事故のリスクが高まっている可能性があるからです。
家の中でばかり過ごすことになった結果、コロナ太りを招きました。肥満は糖尿病や脂質異常症、さらに高血圧の増悪につながり、動脈硬化のリスクを高めます。ある調査※によると、外出自粛のストレスと運動不足で、男女ともに4割前後が体重の増加を感じています。多くは1~3㎏増ですが、5㎏以上増えた人もいます。また、コロナ禍のストレスも血管に悪影響を及ぼします。これまでは家でおとなしくしていたために血管事故が発生しなかっただけで、その原因となる動脈硬化はじわじわと進行している可能性が高いと言えます。
出典:サーティフィット「コロナ太りと甘いものガマンに関する調査」
そんな状況で、これから気温はぐっと下がり、冬を迎えます。自粛の反動から普段以上に出かけたい気分になっている上に、年末年始の忘年会・新年会、GoToキャンペーンの後押しもあって、多くの人が外出するようになることでしょう。家にこもりがちだった身体が屋内と屋外の寒暖差にさらされて、血圧や脈拍に急な変動が起こり、動脈硬化が進行して傷つきやすくなった血管は一触即発の状態になっている危険性があるのです。このように考えると、この冬は例年以上に血管事故が増える可能性が高まっている可能性があります。
オリーブオイルを活用した食事のコントロールで、
血管をしなやかにしながら、コロナ太りを改善
コロナ太りで蓄積した内臓脂肪を減らすことは、動脈硬化の原因となる高血圧、糖尿病、そして脂質異常症を改善することに役立ちます。もっとも有効な方法は、コロナ禍で摂取過剰となっている糖質、炭水化物の制限です。米、麺、パンや菓子、清涼飲料水、甘いフルーツをできるだけ減らしましょう!ただし、ここで問題となるのがエネルギー不足による体調不良です。タンパク質とともに良質な脂質を摂取して、極端なエネルギー、栄養不足を防いでください。調理の際にはエクストラバージンオリーブオイルを上手に活用して、無理なくおいしくコロナ太りを解消し、しなやかな血管をつくりましょう。主成分であるオレイン酸には血中の善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)のバランスを整える働きがあり、また、動脈硬化の原因となる酸化ストレスを防ぐポリフェノールをたくさん含んでいます。体重を減らそうとして急にランニングなどを始めると、心臓や血管に負担をかけることになってむしろ危険ですが、毎日の食事をコントロールすることで血管をいたわりながら肥満傾向を改善すれば、血管事故のリスクを減らすことができます。
動物性脂肪0の大豆ミート+悪玉コレステロールを減らす
エクストラバージンオリーブオイルで、お肉を食べなくても満足感のある食事!
お肉は大切なタンパク源ですが、悪玉コレステロールを増やす動物性脂肪を摂り過ぎてしまいがちという欠点があり、事実動物性脂肪の過剰摂取が心筋梗塞の発症リスクを高めるとの研究結果が報告されています。そこで、お肉の代わりのタンパク源として活用したいのが大豆ミートです。大豆の植物性タンパク質からつくられていて、カロリーが低く、食物繊維が豊富。肉の食感や味わいが感じられるのに、動物性脂肪は0です。大豆ミートをオリーブオイルで調理すれば、まるで動物性脂肪をオリーブオイルに置き換えたお肉のようになり、血管をいたわりながら、満足感のある食事が楽しめます。
大豆ミートレシピ①
大豆ミートからあげ/からあげおろしポン酢
- 大豆ミートからあげ/
159kcal・糖質12.7g・食物繊維2.9g(1人分) - からあげおろしポン酢/
169kcal・糖質14.2g・食物繊維3.3g(1人分)
材 料(2人分)
- 具材
- やせる大豆ミート(ブロックタイプ)30g分
- 片栗粉適量
- エクストラバージンオリーブオイル適量
- 大根おろし適量
- ポン酢しょうゆ適量
- 小ネギ(あれば)適量
- A
- しょうゆ大さじ1と1/2
- にんにく(すりおろし)1かけ
- やせる大豆ミート
- 大豆ミート30g
- かつお粉小さじ2
- しょうが(すりおろし)小さじ2(辛みが苦手な場合は小さじ1)
- 水300ml(ミンチタイプの場合は200ml)
作り方
やせる大豆ミートの作り方
- 耐熱容器に大豆ミートと水を入れる。容器が小さいと、加熱時にお湯が吹きこぼれる場合があるので、少し大きめの耐熱容器を使用しましょう。
- 電子レンジ(600W)で加熱する。加熱時間の目安は、ブロックタイプ8分、フィレタイプ5分、ミンチタイプ3分です。大豆ミートの形状やメーカーによっても、加熱する時間は多少異なります。様子を見ながら、加減してください。
- 湯切り後に、さっと水洗いする。やけどしないように気をつけながら大豆ミートを電子レンジから取り出し、湯切りします。その後、大豆ミートを流水でやさしく洗い、ザルをふって軽く水気を切りましょう。
- かつお粉としょうがをまぶす。水気を切った大豆ミートに、かつお粉としょうがを加え、手でなじませます
大豆ミートからあげ/からあげおろしポン酢の作り方
- 大豆ミートに A の下味をつけて10〜15分ほどおいておく。
- ①に片栗粉をまぶし、180℃の油で1分〜1分半ほど揚げる。
※大量に油を使いたくない場合はフライパンにオリーブオイルを3㎝程入れて、揚げ焼きにすることも可能です。 - からあげに大根おろしをのせ、ポン酢しょうゆをかける。(混ぜ合わせておいたものをのせてもOK)
ポイント
同量の鶏もも肉(約120g)で作るからあげと比較すると、大豆ミートならカロリーは半分以下、脂質は約95%カットできます。カリッと揚がりやすく、揚げ過ぎるとパサつくので注意して。大根おろしとポン酢しょうゆを添えれば、あっさりいただけます。
出典:『大豆ミートダイエット』
池谷敏郎
大豆ミートレシピ②
大豆ミートハンバーグ
材 料(2人分)
- 具材
- 大豆ミート(ミンチ・レトルトタイプ)2パック(160g)
- エクストラバージンオリーブオイル大さじ2
- 玉ねぎのみじん切り中1/2個分
- じゃがいも小1個
- ナツメグ小さじ1/4
- 食塩・粗びき黒こしょう各少々
- トマトソース
- カットトマト水煮缶1/2缶
- にんにくのみじん切り小さじ1
- エクストラバージンオリーブオイル大さじ1
- 食塩・粗びき黒こしょう各少々
- オニオンソース
- 玉ねぎのみじん切り中1/2個
- にんにくのみじん切り小さじ1
- エクストラバージンオリーブオイル大さじ1
- ポン酢しょうゆ大さじ4
- 付け合せ
- ベビーリーフ・大豆もやしとパプリカのソテー各適量
作り方
ハンバーグの作り方
- 玉ねぎのみじん切りを電子レンジ(600W)で透明になるまで3分ほど加熱する。
じゃがいもを電子レンジ(600W)で3分ほど加熱し、熱いうちになめらかになるまでつぶす。 - ボウルに大豆ミートとオリーブオイル(大さじ1)を入れて、大豆ミートの粒がつぶれるまでよく練り混ぜる。
- ②に①、ナツメグ、塩、こしょうを加えて、全体に混ぜ合わせる。
- 小判型に成型する。
- オリーブオイル(大さじ1)をひいたフライパンを中火で熱し、ハンバーグを並べて両面を焼く。
※大豆ハンバーグはお肉のようにしっかり固まりません。柔らかくても焼き目がついていれば完成です。
トマトソースの作り方
- 鍋ににんにくとオリーブオイルを入れてから弱火にかけて炒める。
香りがたったらトマト缶、食塩、こしょうを加えて、中火で軽く煮詰める。
オニオンソースの作り方
- 鍋に玉ねぎ、にんにく、オリーブオイルを入れてから弱火にかけて炒める。玉ねぎが透明になったらポン酢しょうゆを加えて、中火で軽く煮詰める。
- 大豆ミートハンバーグ/
カロリー345kcal・糖質14.9g・食物繊維11.6g(1人分) - トマトソース/
カロリー82kcal・糖質4.2g・食物繊維1.6g(1人分) - オニオンソース/
カロリー93kcal・糖質6.8・食物繊維1.0g(1人分)
ポイント
大豆ミートをひき肉の代わりに使って、大幅にカロリーダウン。食物繊維もプラスできます。
ソースと付け合わせの野菜は、しなやかな血管づくりに役立ちます。
- トマト:リコピン(抗酸化)、GABA(リラックス・降圧・睡眠)
- 大豆もやし:GABA(リラックス・降圧・睡眠)
- パプリカ:β-カロテン(抗酸化)
- 玉ねぎ:ケルセチン(血管を柔らかくし若返らせる)
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池谷 敏郎 先生医療法人社団 池谷医院 院長/
東京医科大学客員講師総合内科専門医、循環器専門医。1988年、東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。 1997年、池谷医院理事長兼院長に就任。心臓、血管、血液のエキスパート。著書に、「血管がぐんぐん若返る!! 豆乳オリーブオイル」など多数。
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元ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタント/シドニー工科大学卒業、健康科学学士
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学術博士(食物学) /
日本獣医生命科学大学客員教授 -
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医療法人社団 池谷医院 院長 /
東京医科大学客員講師