オピニオンコラムcolumn
春は期待と不安の季節。春の訪れとともに、新しい季節の始まりを感じる一方で、この季節の変化が引き起こす気分の落ち込みや不安感、ストレスの増加などに悩まされることがあります。そんな春のメンタル不調を改善する鍵を手に入れる方法として、オリーブオイルの健康効果が再び注目されています。
オリーブオイルが
メンタルヘルスに与える良い影響とその研究
春の訪れに伴う心身の変化によって、不安やストレスを感じる人が増えるといわれていますが、その中でも、食生活がメンタルヘルスに与える影響は大きいとされ、様々な研究が行われています。
最初の大規模な研究(2011年)はスペインで行われ、オリーブオイルを豊富に含む食事が心血管疾患だけでなく、精神疾患からも守ってくれることが明らかになりました(※1)。その研究の中では、エキストラバージンオリーブオイルを摂取する食事パターンの人ほど、うつ病のリスクが少ないことが報告されています。
オリーブオイルがメンタルヘルスに与えるプラスの影響には、脳神経の炎症を軽減する効果があります。オリーブオイルに含まれるポリフェノールは脳を炎症から保護し、酸化によるダメージを軽減するのに役立ちます。また、オリーブオイルは脳腸相関にも影響を与え、腸内環境を良好に保つことでも脳の炎症を軽減します。
さらに2021年、日本で行われた研究では、パン+オリーブオイル15gを摂取したグループは、パンだけのグループよりもオリーブオイルの摂取で脳内の血流が促進され、わずか1時間後でもストレスレベルの低下につながることが示されました(※2)。
そして、2023年に報告された11件の個別研究レビューでは、そのすべてにおいてオリーブオイルの摂取が認知機能の健康と正の相関にあり、摂取し続けることで多くの認知領域にわたって好ましい影響を与えることが判明しています(※3)。
オリーブオイル使いの専門家に学ぶ!
話題の「老化炎症」を防ぎ、「春のメンタル不調」も改善するオリーブオイル
オリーブオイルは、古くから地中海地域で健康に良い油として利用されてきました。その中でも注目すべきは、オリーブオイルに含まれる抗炎症成分です。研究によれば、老化炎症(Inflammaging /インフラマエイジング)が健康に与える悪影響は大きく、慢性的な炎症が身体の老化や疾患の原因となることが示唆されています。老化炎症が身体の老化や慢性疾患に影響を及ぼすだけでなく、近年の研究ではこの炎症反応がメンタルの不調にも関連している可能性が示唆されています。
春になると、生活の変化や気候の変動が身体の内外のリズムを乱し、ストレス応答が増加することがあります。このような状況下で老化炎症が活性化すると、脳内の神経細胞や神経伝達物質に影響を及ぼし、春のメンタル不調を引き起こす可能性が考えられるのです。
こうした老化炎症を防ぐためのオリーブオイル活用は、海外の専門家も推奨しています。 医学博士のDr. スティーブン・ガンドリーは、心臓病の専門医として長年の経験を積み重ね、健康に良い生活習慣について多くの人に助言してきました。彼の経験から学ぶと、オリーブオイルは食事の中で重要な役割を果たし、「食べ物とはオリーブオイルをとるために食べるもの」との言葉が示すように、日常的に摂取することが健康の基本であるとされています。
Dr. Gundry’s website:https://drgundry.com
一方、バイオハッカーであるブライアン・ジョンソンも、自身の経験を通じてオリーブオイルの効果を実感しています。彼はかつてうつ病に苦しんでいましたが、1日の食の15%をオリーブオイルにするなど積極的に摂取することでメンタルの安定を取り戻しました。バイオハッカーとして知られる彼は、最新の科学や技術を駆使して自身の健康を管理し、日々の生活に革新的なアプローチを取り入れています。彼の取り組みは、健康意識の高い方から一般の人々まで幅広い関心を集めています。
Bryan Johnson: Tech biohacker’s website:https://blueprint.bryanjohnson.com
Instagram:https://www.instagram.com/bryanjohnson_/?hl=en
1日15gのオリーブオイルを食事に取り入れよう!オリーブオイル活用術
こうした専門家たちの経験から学ぶと、オリーブオイルは老化炎症の防止だけでなく、春のメンタル不調の改善にも役立つ可能性があります。自分の定番の油をオリーブオイルに変えればストレス改善を支えるひとつの方法になるのです。
オリーブオイルは比較的熱に強い性質なので、家庭での加熱調理にも安心して使えます。しかし家庭での調理油をオリーブオイルに変えても、外出時の食事に使われる油は選べません。そこで、携帯用の容器(油を入れても良い小さなマイボトルなど)に入れて持ち歩くことをおすすめします。健康的なドレッシングとして使用でき、またオフィスでも、購入したサラダやお弁当にかけるなどして簡単に健康的な食事をとることができます。オリーブオイルは満足感を与えることで食事の量を抑える助けとなるので、ダイエットにも効果的です。
1日で摂りたい量を決めて(大匙1~3)、家庭でも外でも、積極的に使ってゆくと良いでしょう。
新しい季節を迎えるにあたり、オリーブオイルを積極的に取り入れた健康的な生活を意識してみましょう。日常生活に取り入れやすい方法でオリーブオイルを活用し、健康で前向きな新しい季節を楽しみましょう。
出典:
※1:Dietary fat intake and the risk of depression: the SUN Project(2011 Jan 26)
Almudena Sánchez-Villegas 1, Lisa Verberne, Jokin De Irala, Miguel Ruíz-Canela, Estefanía Toledo, Lluis Serra-Majem, Miguel Angel Martínez-González
※2:脳血流の測定による人間のストレス反応に対するオリーブオイルの効果の評価(2021年2月16日)
三倉、Sumali、奈良、渡辺、井上、石田、西脇、三村
PMID:33841804 PMCID:PMC8020963
※3:The effects of olive oil consumption on cognitive performance: a systematic review. (2023 Oct 11):
Fazlollahi A, Motlagh A,sghari K, Aslan C, Noori M, Nejadghaderi SA, Araj-Khodaei M,Sullman MJM, Karamzad N,Kolahi AA, Safiri S.
PMID:37885446 PMCID:PMC10598670
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エリカ・アンギャル 先生元ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタント / シドニー工科大学卒業、健康科学学士
2004年から8年間、ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして世界一の美女を目指すファイナリストたちに「美しくなる食生活」を指南。 栄養学、薬理学、生理学など予防医学における幅広い専門知識を駆使し、“内側からより美しく、心も身体もすこやかに輝く”をテーマに、ハッピーな毎日のための食とライフスタイルを発信している。著書に「スーパービューティースイーツ」「世界一の美女になるダイエット」他多数。
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エリカ・アンギャル 先生
元ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタント/シドニー工科大学卒業、健康科学学士
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2024.03.15
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学術博士(食物学) /
日本獣医生命科学大学客員教授 -
2021.07.19
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医療法人社団 池谷医院 院長 /
東京医科大学客員講師