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オピニオンコラムcolumn

2019.09.03

季節の変わり目は秋バテ、秋風邪に要注意!
オリーブオイルを活用して、今日からできる
食事レスキュー術

佐藤 秀美 先生
学術博士(食物学) /
日本獣医生命科学大学客員教授
季節の変わり目は秋バテ、秋風邪に要注意!オリーブオイルを活用して、今日からできる食事レスキュー術

栄養で「秋バテ」を解消!

ようやく気温も下がり、比較的過ごしやすい季節になりました。このような季節の変わり目には、身体の不調を感じることも多くなるので、注意が必要です。だるさや立ちくらみ、頭がすっきりしないといった症状は、秋バテのせいかもしれません。しっかりと栄養を摂って、体力を回復していきましょう。

最近の研究で、疲労のメカニズムがわかってきました。人間は約60兆個の細胞で形づくられていますが、細胞内のエネルギーをつくり出すミトコンドリアの働きは、過剰に発生した活性酸素によって悪くなります。その結果が、疲労です。秋バテなどによる疲れやすさを払拭するには、活性酸素の害からカラダを守る抗酸化物質の摂取が有効といえます。今回は秋バテの中でも、疲労回復につながる食事術をお伝えします。

全身の抗酸化のために、いろいろな種類の抗酸化物質を摂ろう

代表的な抗酸化物質は、抗酸化ビタミンと呼ばれるβカロテン、ビタミンE、ビタミンC、そしてポリフェノールなどの機能性成分です。抗酸化物質には水溶性、脂溶性があり、それぞれ働く場所が異なります。脂溶性のビタミンEやβカロテンは細胞膜の脂質部分で、水溶性のビタミンCは血液などの体液中で働きます。これらのビタミンは互いの抗酸化力を強めたり、持続させたりするなど、連携して体全体の抗酸化に作用します。そのため、いろいろな種類の抗酸化物質の摂取がオススメです。

※1:一般によく売られている玉型のレタスを除く“葉レタス”
※2:淡色野菜にはビタミンC、フラボノイド色素(ポリフェノール)、その他様々な抗酸化物質が含まれており、それらが複合的に抗酸化に役立つと考えられている。

アレンジ自在!「ニンジンのオリーブオイル漬け」で元気を取り戻す

抗疲労に大いに役立つのが、納豆、トマト、オリーブオイルを混ぜた「納豆トマト」や「ニンジンのオリーブオイル漬け」です。抗酸化物質が豊富なエクストラバージンオリーブオイルを、抗酸化食材のトマトやニンジン、納豆と合わせることで、色々な種類を同時に摂ることができます。また、βカロテンやビタミンEといった脂溶性のビタミンは、オリーブオイルと一緒に摂ることで吸収率が格段に高まるので、その相乗効果で秋バテ解消に役立ちます。

ニンジンのオリーブオイル漬けレシピ

材 料

  • ニンジン1本
  • 干しぶどう大さじ3
  • 調味料

  • エクストラバージンオリーブオイル大さじ4
  • 大さじ3
  • はちみつ小さじ2弱
  • 小さじ1/2弱
  • 粒マスタード小さじ1

作り方

  • ニンジンをスライサーで千切りにし、ジッパー付の袋に入れる。
  • ①の中に全ての調味料を入れ、よくもむ。
  • ②に干しぶどうを入れて、かるく混ぜる。
    1時間ほど置けば、味がなじんで美味しく食べられる。

ポイント

・冷蔵庫で1週間ほど保存できるので、常備菜としても便利。

・トマトやブロッコリーと一緒のサラダにすれば、オリーブオイル効果でトマトやブロッコリーのβカロテンやビタミンEの吸収率もアップ。

「秋風邪」対策のカギをにぎる免疫力

夏が終わると、秋バテとともに心配なのが「秋風邪」です。風邪の予防や早期回復に大切なことは、免疫力を高めること。体内の最大免疫器官といわれる腸内の環境改善に役立つ水溶性食物繊維や、免疫系を強化するビタミンD、亜鉛、抗酸化物質などが豊富な食材を積極的に食べましょう。

オリーブオイルでサラダをおいしく食べて、免疫力を高めよう

ブロッコリー、レタスなどの生野菜サラダには、トマトを添え、塩少々とエクストラバージンオリーブオイルをかけるだけで美味しく食べられます。トマトに多いうま味と酸味は減塩による物足りなさを感じさせず、これにエクストラバージンオリーブオイルの新鮮な“緑の香り”が加われば、敢えてドレッシングをかけなくても大丈夫。オリーブオイルで、βカロテンやリコピンの吸収率も上がります。さらに、塩分があってうま味の強いチーズを加えれば、かける塩の量を減らせるので、減塩につながります。チーズには亜鉛、たんぱく質が豊富なので、免疫力アップにもつながります。また、腸内環境を整えるために、水溶性食物繊維が豊富な押麦(大麦)をプラスするのもいいですね。

もう一つのオススメが「しらすのオリーブオイル漬け」。今が旬のしらすには、ビタミンDが豊富です。トマトやブロッコリーなどの野菜にかけたり、パスタに絡めたり、おいしく食べながら、免疫力を高めることができます。

しらすのオイル漬けのレシピ

材 料

  • しらす150g
  • 大さじ1
  • ニンニク(すりおろし)大さじ1/2
  • エクストラバージンオリーブオイル適量

作り方

  • しらすを耐熱容器に入れて酢をふりかけて良く混ぜる。
  • ①の容器にラップをふんわりかけて、電子レンジで加熱。目安時間:700wで約1分間
  • しらすを冷ましてから保存容器に入れ、おろしにんにくを加えて混ぜる。
  • しらすがちょうど隠れる程度までエクストラバージンオリーブオイルで注ぐ。

ポイント

・しらすに酢をかけることで、魚臭さが減り、カルシウムの吸収力はアップ。

・しらすに酢を混ぜて電子レンジ加熱すると、低pHと加熱の効果で、簡単に殺菌。

しらすは鮮度が落ちやすい食材ですが、オイル漬けにすれば冷蔵庫で10日間ほど保存可能に!

同じトマトでも栄養価は驚くほど違う! より栄養を摂るための食材の選び方

トマトやレタスなどサラダに欠かせない定番野菜には、いろいろな種類があります。切らずに済むからミニトマト、今日は特売だったからサニーレタス、というような選び方をしているのではないでしょうか。実は、同じ食材でもその種類によって栄養価は大きく異なります。例えば、レタスの場合。βカロテン含量はよくある玉型のレタスよりもリーフレタスの方が約10倍多いのです。トマトの場合も、赤味の強いものほどリコピン含量が多くなります。選び方一つで、栄養素等の摂取量に大きな差がつきます。

これはオイル選びにもいえること。オリーブオイルにはβカロテン、ビタミンEなどの抗酸化物質が多く含まれています。特にオリーブの果実を丸ごとしぼり出しただけのエクストラバージンオリーブオイルなら、オリーブの実に含まれるβカロテンやオレオカンタール、オレウロペインなどの抗酸化物質もほとんど除去されずに溶け込んでいます。野菜の新鮮さを醸し出す“緑の香り”成分も多いため、使えるメニューの幅が広い点もうれしいところです。

食材を上手に利用して、秋バテ、秋風邪を吹き飛ばしましょう。

出典:食品成分データベース(文部科学省)

玉レタス
サニーレタス
コスレタス
佐藤 秀美

佐藤 秀美 先生学術博士(食物学) /
日本獣医生命科学大学客員教授

横浜国立大学卒業後、企業で調理機器の開発に従事。その後、お茶の水女子大学大学院修士・博士課程を修了。学術博士。専門は食物学。大学で教鞭をとる傍ら、栄養士免許を取得。研究者と主婦の目線で料理や栄養を研究。著書多数。

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